非常用発電機の負荷試験とは:費用と頻度

2026年10月 確認てんけんどこ編集部

消防用設備の非常電源として置く発電機は、消防法の総合点検(1年に1回)で「負荷運転」か「内部観察等」を行います。予防的な保全策を行っていれば、6年に1回で済みます。費用は、公開されている例で150kVAまでの発電機なら6万〜15万円ほど(税別)からです。

負荷運転の義務:消防法の点検で年1回

消防用設備の点検には、6か月に1回の機器点検と、1年に1回の総合点検があります(点検の義務と回数)。非常電源の発電機(自家発電設備)は、総合点検の中で「運転性能」を確かめます。その方法が、負荷運転か内部観察等のどちらかです。

負荷運転は、擬似負荷装置や実負荷を使い、定格出力の30%以上の負荷で必要な時間だけ続けて運転して確かめます。設計上の負荷が30%に届かない発電機は、その負荷で行ってよいとされています。

2018年(平成30年)6月1日の点検基準の改正で、次の点が変わりました。

  • 負荷運転の代わりに、内部観察等を選べるようになりました。
  • 予防的な保全策を行っている場合、負荷運転・内部観察等の周期を6年に1回にできるようになりました。
  • 原動機がガスタービンの発電機は、負荷運転が要らなくなりました。
  • 換気性能の点検は、負荷運転のときではなく、無負荷運転のときなどに行うようになりました。

点検結果を報告しない場合の罰則は、30万円以下の罰金または拘留です。消防庁は「負荷運転をしないと1億円の罰金」「消防庁の依頼で来た」といった営業は正しくないとして、注意を呼びかけています。

出典:総務省消防庁「自家発電設備の点検基準等の改正」、同 改正のリーフレット、同 点検基準の改正通知(消防予第372号)、同 点検要領の改正通知(消防予第373号)、同 質疑応答、同 負荷運転の営業に関する注意喚起、東京消防庁「消防用設備等点検報告制度」(いずれも2026年9月28日確認)。

負荷運転と内部観察等の違い

方法何をするか知っておくこと
負荷運転(擬似負荷装置)試験用の装置を発電機につなぎ、定格出力の30%以上の負荷をかけて運転します。発電機に直接つなぐため、建物を停電させずにできるとする会社があります。装置を置く場所が取れないと、できない場合があります。
負荷運転(実負荷)建物の実際の設備に電気を送り、定格出力の30%以上の負荷で運転します。商用電源(電力会社からの電気)を止めないとできない場合があります。
内部観察等過給機の翼や排気管、燃料噴射弁、シリンダの内部を見て確かめ、潤滑油と冷却水の成分を分析します。2018年6月の改正で、負荷運転の代わりに選べるようになりました。作業が長くなることが多く、その間の予備の電源が要るとする会社があります。

東京消防庁は、内部観察等が加わった理由として、実負荷では停電させないとできない場合があること、擬似負荷装置を置けない場合があることを挙げています。建物の条件でできる方法が変わるため、点検会社に現地を見てもらってから決めます。

出典:東京消防庁「自家発電設備の点検」、総務省消防庁「内部観察等とは?」、日本防災技術センター「非常用発電機」、ブレス「内部観察とは」(いずれも2026年9月28日確認)。

予防的な保全策で6年に1回にできる

予防的な保全策とは、発電機の運転性能を保つための次の手入れです。

  1. 予熱栓・点火栓・冷却水ヒータ・プライミングポンプを1年ごとに確かめる。
  2. 潤滑油、冷却水、燃料フィルター、潤滑油フィルター、Vベルト、ゴムホース、シール材、始動用の蓄電池を、製造者が決めた推奨の交換期間のうちに交換する。

これを行っていれば、製造年から6年、または前回の負荷運転・内部観察等から6年を過ぎるまで、運転性能の点検を省けます。オーバーホールをした場合も、そこから6年を数えてよいとされています。ただし、予防的な保全策そのものは毎年の確認が必要です。

出典:総務省消防庁「予防的な保全策とは?」、同 点検基準の改正通知、同 質疑応答(いずれも2026年9月28日確認)。

負荷試験の費用:容量別の公開価格

発電機の容量方法公開している価格会社(出典)
〜150kVA実負荷6万円〜(税別)なかの消防サービス(広島市)
150〜300kVA実負荷8万円〜(税別)なかの消防サービス(広島市)
300〜450kVA実負荷10万円〜(税別)なかの消防サービス(広島市)
〜150kVA擬似負荷12万円〜(税別)なかの消防サービス(広島市)
150〜300kVA擬似負荷16万円〜(税別)なかの消防サービス(広島市)
300〜450kVA擬似負荷20万円〜(税別)なかの消防サービス(広島市)
〜40kVA負荷試験98,000円(税別)エフ・ピイ・システム(鎌倉市)
〜80kVA負荷試験113,000円(税別)エフ・ピイ・システム(鎌倉市)
〜120kVA負荷試験128,000円(税別)エフ・ピイ・システム(鎌倉市)
〜200kVA負荷試験148,000円(税別)エフ・ピイ・システム(鎌倉市)
〜300kVA負荷試験178,000円(税別・参考価格)エフ・ピイ・システム(鎌倉市)
〜500kVA負荷試験248,000円(税別・参考価格)エフ・ピイ・システム(鎌倉市)

出典:なかの消防サービス「自家発電設備負荷試験料金」(200V系統の目安。450kVAを超えるものと6,600V系統は要相談)、エフ・ピイ・システム「発電機負荷試験について」(出張交通費・報告書作成費・諸経費込み。200kVAを超えるものは現地調査が必要)。いずれも2026年9月28日確認。

費用を大きく動かすのは、次の点です。

  • 発電機の容量:容量が大きいほど高くなります。
  • 方法:なかの消防サービスの料金表では、擬似負荷は実負荷の2倍の金額です。
  • 設置場所:屋上にエレベーターが行かない、発電機の近くに装置を運び込みにくい、といった建物は別途相談になります。
  • 含まれるもの:出張交通費や報告書の作成費を含むかは、会社ごとに違います。見積りでは総額を確かめます。

内部観察等の料金を容量別に公開している会社は、編集部が確認した範囲では見つかりませんでした。負荷試験会社のランドコムスクウェアは2022年の記事で、1回の目安を負荷試験「約9万〜」、予防的保全策「約10万〜」、内部観察「約100万〜」としています(税込・税別の表記なし)。

出典:ランドコムスクウェア「非常用発電機負荷試験の費用」(2026年9月28日確認)。

てんけんどこの掲載店では、次の会社が負荷試験を扱っています。消防設備点検全体の費用は消防設備点検の費用の目安にまとめています。

建築基準法・電気事業法の点検との関係

  • 建築基準法:建築設備の定期検査では、非常用の照明装置の予備電源も対象で、作動の状況と点灯時間を確かめます。2018年10月29日公布(2019年1月29日施行)の告示改正で、排煙設備と非常用の照明装置は、消防法や電気事業法に基づく点検結果を確かめることで、実際の検査を省けるようになりました。例として、排煙設備の自家発電装置の「発電機及び原動機の状況」が挙げられています。
  • 電気事業法:自家用電気工作物の年次点検の項目に、非常用予備発電装置が停電時に自動で起動し、送電後に止まること、電圧と周波数が正常であることの確認が挙げられています。停電できない場合は、模擬信号で起動・停止を確かめる方法もあります。

3つの法律の点検は目的も担当も違いますが、結果を使い回せる部分があります。消防設備の点検会社、建築設備の検査会社、電気主任技術者に、それぞれ何を確かめているかを聞いておくと、重複を減らせます。

出典:国土交通省「定期報告告示の見直しについて」、総務省消防庁 検討会資料「建築設備定期検査告示(H20国交告第285号)の改正概要について」、経済産業省「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」年次点検の抜粋(いずれも2026年9月28日確認)。